冷蔵庫の電気代は設定と置き方で変わる——今日からできる節電
冷蔵庫は、家庭のなかで数少ない「24時間365日動き続ける家電」です。エアコンやテレビと違って、消し忘れという概念がありません。
だからこそ、設定や使い方のわずかな違いが1年を通して積み上がります。公的な試算では、どの操作がどれだけ効くかが数字で示されています。
設定温度を1段階下げ、詰め込みを減らすだけで、公的試算では年間100kWh以上の差になります。冷蔵庫は稼働時間が長いぶん、小さな変更の効果が大きく出る家電です。
効果が数字で示されている
資源エネルギー庁が公開している家庭の節電情報では、冷蔵庫について具体的な削減量が示されています。試算の条件も明記されています※1。
| 対策 | 年間の削減電力量 | 年間の節約額の目安 |
|---|---|---|
| 設定温度を「強」から「中」に変更 | 61.7kWh | 約1,400円 |
| 詰め込みすぎない(詰め込み時と半分の比較) | 43.8kWh | 約1,000円 |
この試算は電力単価22.86円/kWhを前提としたものです。現在の電力単価はこれより高い水準にあるため、同じ削減電力量でも金額としての効果は大きくなります。仮に31円/kWhで計算すると、2つの合計105.5kWhは年間約3,270円に相当します。
また、扉の開閉についても、回数を減らすことで消費電力量が変わることが示されています。
効く順に並べる
対策には手間の差があります。効果が大きく手間が小さいものから始めるのが合理的です。
- 設定温度を見直す——「強」のままになっていないかを確認します。周囲の温度が低い季節は下げる余地があります
- 冷蔵室の詰め込みを減らす——冷気の通り道を確保します。棚の奥まで詰めない状態を目安にします
- 放熱スペースを確保する——側面と上部の間隔を取扱説明書で確認します
- 開閉の回数と時間を減らす——何を取るか決めてから開ける習慣にします
- 熱いものを冷ましてから入れる——庫内の温度上昇を抑えます
1番目と2番目は今日からできて、費用もかかりません。ここだけで年間100kWh規模の差が出る計算になります。
冷蔵室と冷凍室で逆になる点
注意したいのが、詰め込み方の考え方が冷蔵室と冷凍室で違うことです。
冷蔵室は冷気を循環させて庫内を冷やすため、詰め込むと冷気の流れが妨げられます。空間に余裕があるほうが効率的です。
一方、冷凍室は凍った食品自体が冷たさを保つ役割を果たします。隙間が多いと、扉を開けたときに外気が入り込む量が増えます。冷凍室はある程度詰まっているほうが有利になります。
| 場所 | 望ましい状態 | 理由 |
|---|---|---|
| 冷蔵室 | 詰め込みすぎない | 冷気の循環を妨げない |
| 冷凍室 | ある程度詰める | 凍った食品が保冷材の役割を果たす |
同じ「冷やす」でも仕組みが違うため、一律の節電テクニックとして覚えると逆効果になる部分があります。
置き場所の確認
冷蔵庫は背面や側面から熱を放出しています。この放熱が妨げられると、冷やすために余分な電力が必要になります。
必要な間隔は機種によって異なるため、取扱説明書の指定が優先されます。一般には側面と上部に数センチから10センチ程度を確保するよう案内されることが多くなっています。放熱不足は消費電力の増加だけでなく、故障の原因にもなります※2。
引っ越しや模様替えのあと、壁にぴったり寄せたまま使っているケースは少なくありません。一度、背面と側面の隙間を確認してみてください。
買い替えという選択肢
使い方の工夫には限界があります。古い機種を使い続けている場合、買い替えのほうが効果が大きいこともあります。
省エネ性能は年々向上しており、10年以上前の機種と最新機種では年間消費電力量に大きな差が出ることがあります。資源エネルギー庁の省エネ型製品情報サイトで、機種ごとの年間消費電力量を確認できます。
ただし本体価格があるため、削減額と価格差から回収年数を計算してから判断するのが確実です。まずは設定と置き方の見直しで、どこまで下がるかを試す順番が現実的です。
まとめ
冷蔵庫は24時間動き続けるため、設定と使い方の差が1年で大きく積み上がります。公的な試算では、設定温度の変更で年間61.7kWh、詰め込みを減らすことで43.8kWhの削減が示されています。
今日からできるのは、設定温度の確認と冷蔵室の詰め込みを減らすことの2つです。あわせて、冷凍室は逆に詰めたほうがよいという点と、壁からの間隔を確認しておけば、費用をかけずに効果が出ます。
参考文献・出典
※1 : 「みんなで節電アクション!|家庭でできる節電アクション|4.冷蔵庫で節電!」 |資源エネルギー庁(環境省 COOL CHOICE サイト内)
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/setsuden/home/saving04.html
※2 : 「冷蔵庫の消費電力をおさえて省エネになる使いかたを知りたいです。」 |日立グローバルライフソリューションズ
https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/rei/q_a/a96.html
※3 : 「省エネ性能カタログ電子版」 |省エネ型製品情報サイト(資源エネルギー庁)
https://seihinjyoho.go.jp/catalog/