なぜそうなる? | | TrinityStyle編集部 | 6分で読める

同じ使い方でも電気代が季節で変わる理由——燃料費調整額の読み方

同じ使い方でも電気代が季節で変わる理由——燃料費調整額の読み方

検針票を見て、先月とそれほど使い方を変えていないのに金額が動いている、と感じることがあります。エアコンを使う季節なら納得できますが、そうでない月にも差が出ます。

理由は、電気料金が使用量だけで決まっていないからです。1キロワットアワーあたりの単価そのものが、月ごとに動いています。

電気代が動く要因は使用量だけではありません。三段階の単価、毎月改定される燃料費調整額、年度で変わる再エネ賦課金という3つが、それぞれ別の周期で効いています。

電気料金は4つの部品でできている

まず構造を確認します。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、電力量料金に燃料価格の変動に応じた燃料費調整額を加算あるいは差し引き、電気料金を算定する際に再生可能エネルギー発電促進賦課金を加算すると説明されています※1。

つまり請求額は、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金の4つの合計です。このうち固定されているのは基本料金だけで、残りの3つはいずれも動きます。

基本料金は契約アンペアで決まり、30アンペアで935円25銭、40アンペアで1,247円00銭です(いずれも税込)※1。ここを変えたい場合はアンペアの見直しになりますが、月々の変動には関与しません。

使用量が増えると単価も上がる

次が電力量料金です。ここには段階があり、たくさん使うほど1キロワットアワーあたりが高くなります。

区分1kWhあたり(税込)
最初の120kWhまで(第1段階)29円80銭
120kWh超過300kWhまで(第2段階)36円40銭
300kWh超過(第3段階)40円49銭

第1段階と第3段階では、単価に10円以上の開きがあります※1。この構造があるため、使用量の増加は料金にそれ以上の増加として現れます。

月200キロワットアワーの家庭を例にすると、電力量料金は120キロワットアワー分が29円80銭、残り80キロワットアワー分が36円40銭で、合計6,488円です。これが400キロワットアワーに増えると、120キロワットアワー分、180キロワットアワー分、100キロワットアワー分に分かれて合計14,177円になります。使用量は2倍ですが、料金は約2.19倍です。

冷暖房で使用量が跳ねる月に請求額が想像以上に増えるのは、この段階の切り替わりが効いているためです。

燃料費調整額は毎月動く

3つ目が燃料費調整額です。これは月ごとに単価が改定され、燃料価格が下がっている局面ではマイナスとして差し引かれます。

関東エリアの低圧における燃料費調整単価は、次のように推移しました(税込、円/kWh)※2。

適用年月燃料費調整単価
2025年4月分▲7.38
2025年5月分▲6.19
2025年8月分▲9.25
2026年2月分▲12.22
2026年3月分▲12.09
2026年4月分▲8.93

2026年3月分と4月分を比べると、▲12.09から▲8.93へ、1キロワットアワーあたり3円16銭ぶん請求額が増える向きに動いています。月300キロワットアワー使う家庭なら、それだけで約948円の差です。

ここで注意したいのが、この単価に何が含まれているかです。同じ一覧の注記によれば、燃料費調整単価には国の電気・ガス料金支援による値引き単価が含まれており、2026年2月分から3月分までは1キロワットアワーあたり4円50銭、2026年4月分は1円50銭でした※2。

つまり3月から4月への3円16銭の変化のうち、3円は支援の縮小によるものです。燃料価格そのものはほとんど動いていません。燃料費調整額という名前ですが、実際にはそれ以外の要因も乗っています。

再エネ賦課金は年度で変わる

4つ目が再生可能エネルギー発電促進賦課金です。こちらは月次ではなく、年度単位で改定されます。

東京電力エナジーパートナーの案内では、2025年5月分から2026年4月分までの単価が1キロワットアワーあたり3円98銭(税込)で、参考として示された2025年4月分は3円49銭でした※3。

改定幅は49銭ですが、これも使用量に掛かる単価です。月300キロワットアワーなら約147円、年間では1,700円台の差になります。毎年5月分から新しい単価が適用されるため、春先に理由の分からない変化を感じたら、この改定が関わっている可能性があります。

検針票で確かめる順番

これらを踏まえると、金額の動きを分解する手順は次のようになります。

  1. 使用量(kWh)を前年同月と比べる——ここが動いていれば、まず使用量の問題です
  2. 使用量が同程度なら燃料費調整額の欄を見る——単価×使用量で計算されています
  3. 5月分をまたいでいないか確認する——再エネ賦課金の改定時期です
  4. 段階が変わっていないか見る——300キロワットアワーを超えた月は単価が上がっています
  5. 契約アンペアを確認する——基本料金は使わなくてもかかります

2番目と3番目は、自分の努力では動かせない部分です。ここが原因なら、節電のやり方を見直しても変わりません。逆に1番目と4番目が原因なら、使い方の調整に効果があります。

原因の切り分けができると、対策の当てどころも決まります。単価の変動に振り回されるより、段階の境目を意識するほうが、家庭でできることとしては現実的です。

まとめ

電気料金は、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金の4つでできています。動くのは後ろの3つで、それぞれ周期が違います。

電力量料金は三段階制で、月200キロワットアワーから400キロワットアワーへ倍増すると料金は約2.19倍になります。燃料費調整額は毎月改定され、2026年3月分の▲12.09から4月分の▲8.93への変化のうち3円は国の支援の縮小によるものでした。再エネ賦課金は年度単位で、2025年度は3円98銭です。同じ使い方でも金額が動くのは、この3つが別々のタイミングで効いているからです。なお、ここで挙げた単価は東京電力エナジーパートナーの例で、契約先や地域によって異なります。

参考文献・出典

※1 : 「従量電灯B・C」 |東京電力エナジーパートナー株式会社
https://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/old01.html

※2 : 「燃料費調整単価等一覧(燃料費調整制度)」 |東京電力エナジーパートナー株式会社
https://www.tepco.co.jp/ep/private/fuelcost2/newlist/index-j.html

※3 : 「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価のお知らせ」 |東京電力エナジーパートナー株式会社
https://www.tepco.co.jp/ep/renewable_energy/institution/pdf/20260501.pdf

よくある質問

電気料金はどんな内訳でできていますか?

基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金の4つです。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、電力量料金に燃料費調整額を加算または差し引き、そこへ再エネ賦課金を加えて算定すると説明されています。動く部分は後ろの2つです。

使用量が2倍になると電気代も2倍になりますか?

2倍以上になります。従量電灯Bの電力量料金は三段階制で、最初の120kWhまでが1kWh29円80銭、120kWh超300kWhまでが36円40銭、300kWh超が40円49銭です(いずれも税込)。月200kWhから400kWhへ倍増すると、電力量料金は約2.19倍になります。

燃料費調整額が急に変わるのはなぜですか?

燃料価格の変動に加えて、国の電気・ガス料金支援による値引きが単価に含まれているためです。関東エリアでは2026年2月分から3月分の値引き単価が1kWhあたり4円50銭、4月分が1円50銭でした。支援が縮小するとその分だけ請求額が増えます。