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コンビニコーヒーが100円台で成立する原価構造

コンビニコーヒーが100円台で成立する原価構造

コンビニのカウンターで淹れるコーヒーは、100円台から買えます。専門店の3分の1から4分の1という価格帯です。

一方で、コーヒー豆の相場は近年大きく動きました。それでも店頭の値札は、同じ幅では動いていません。この差がどこから生まれているのかを、数字で追ってみます。

コンビニコーヒーの豆代は1杯あたり十数円です。100円台という価格は原料が安いからではなく、既存の店舗に販売を相乗りさせている構造から生まれています。

1杯の豆代を計算する

出発点は輸入価格です。日本が輸入した生豆は2025年で354,434トンにのぼり※3、その単価は貿易統計として公表されています。

全日本コーヒー協会がまとめた財務省貿易統計によると、2025年(確々報)のコーヒー生豆の輸入単価は、総合計で1kgあたり1,010円でした※1。国別ではブラジルが981円、ベトナムが821円、コロンビアが1,206円で、この上位3か国が輸入量の76.4%を占めています※1。

1杯に使う量を生豆換算で10グラムとすれば10円、12グラムとすれば約12円です。焙煎すると水分が抜けて軽くなるため、焙煎後の重量で10グラムを使う場合は生豆がそれより多く必要になります。いずれにしても、豆代は1杯あたり十数円の範囲に収まります。

売価が150円だとすると、豆代はその1割前後です。原価の大部分は別のところにあることになります。

豆が3倍になっても価格が3倍にならない理由

この比率を理解すると、値上げの幅も説明がつきます。同じ統計で、単価の推移を並べてみます。

生豆輸入単価(総合計)生豆12g分
2010年283円/kg約3.4円
2020年289円/kg約3.5円
2023年571円/kg約6.9円
2024年677円/kg約8.1円
2025年1,010円/kg約12.1円

2020年から2025年で、単価は3倍を超えました※1。ただし1杯あたりに直すと、3.5円から12円への変化です。差額は8円台にとどまります。

売価に占める比率が小さい原料は、相場が何倍になっても、売価を同じ倍率で押し上げません。ここが、豆の相場に敏感な専門店と、コンビニとの分かれ目になります。専門店は豆の質と量で価格を組み立てるため、相場の影響を強く受けます。

原価の主役は豆ではない

では何が原価なのかというと、抽出機、カップ、電気、そして人の手です。ただしコンビニの場合、これらの多くはすでに存在しているものに乗せる形になります。

店舗の賃料は、コーヒーを売らなくても発生しています。レジに立つ人も、照明も、冷蔵ケースの電気も同じです。コーヒーのために追加で必要になるのは、抽出機1台と、その設置に使うカウンターの数十センチだけです。

専門店の場合はこうはいきません。コーヒーを売るために店舗を借り、客席を用意し、人を配置します。同じ1杯でも、負担している固定費の量がまったく違います。

つまり100円台という価格は、原料が安いからではなく、コーヒーが負担すべき固定費が小さく設計されているから成り立っています。同じ豆を使っても、店の作り方が違えば成立する価格が変わるということです。

コーヒーは客単価を上げる装置

もうひとつの側面が、コーヒー単体で採算を取る必要がない点です。日本フランチャイズチェーン協会の統計から、コンビニの数字を見てみます。

2026年2月度の調査では、全店ベースの店舗数が56,149店、来店客数が11億9,724万人、平均客単価が756.5円(税別)でした※2。1店舗あたりに直すと、月におよそ2万1,300人、1日あたり約760人が訪れている計算になります。

同じ調査で、来店客数は7か月連続で前年を下回る一方、平均客単価は14か月連続で前年を上回っています※2。来る人は減っているが、1回あたりの購入額は増えている状況です。

この構図では、来店の理由をつくり、ついでに何かを買ってもらう商材の価値が高くなります。実際、同調査の全般的動向では、2026年2月の売上増の要因としてカウンターコーヒーが挙げられています※2。1杯の利益が小さくても、客単価756.5円の買い物に結びつけば、店にとっての価値は1杯の値札を超えます。

まとめ

コンビニコーヒーの豆代は、2025年の輸入単価で計算すると1杯十数円です。生豆の単価は2020年から3倍を超えて上がりましたが、1杯あたりでは10円に満たない増加にとどまるため、売価を同じ倍率で上げる必要がありません。

100円台を成立させているのは、原料の安さよりも、コーヒーが負担する固定費の小ささです。すでにある店舗と人員に抽出機を1台足すという構造が、専門店とは別の採算ラインを可能にしています。加えて、平均客単価756.5円の買い物につながる来店動機としての役割があるため、1杯の利幅を薄くしても成り立ちます。値札の安さは、豆ではなく設計から来ているといえます。

参考文献・出典

※1 : 「日本のコーヒー生豆の国別輸入量・単価(資料:財務省「貿易統計」)」 |全日本コーヒー協会
https://coffee.ajca.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2026/03/data-gc-yunyuryo-tanka2025.pdf

※2 : 「JFAコンビニエンスストア統計調査月報 2026年2月度」 |一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会
https://www.jfa-fc.or.jp/particle/320.html

※3 : 「日本のコーヒーの輸入量の推移」 |全日本コーヒー協会
https://coffee.ajca.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2026/03/data-yunyu-suii2025.pdf

よくある質問

コンビニコーヒー1杯の豆代はいくらですか?

2025年のコーヒー生豆の輸入単価は総合計で1kgあたり1,010円でした。1杯に使う量を生豆換算で10〜12グラムとすると、豆代は約10〜12円になります。100円台の売価に対して1割前後という水準です。

豆が値上がりしてもコンビニコーヒーが大幅に値上げされないのはなぜですか?

売価に占める豆代の比率が小さいためです。生豆の輸入単価は2020年の1kgあたり289円から2025年の1,010円へと3倍を超えて上がりましたが、1杯あたりでは数円から十数円への変化にとどまります。同じ倍率を売価に反映する必要はありません。

コンビニはコーヒーで儲かっているのですか?

1杯単体の利益より、来店の理由をつくる役割が大きいと考えられます。コンビニの平均客単価は2026年2月で756.5円(税別)で、コーヒー1杯の価格を大きく上回ります。来店客数が前年割れを続けるなかで、客単価は14か月連続で前年を上回っています。