ポイ活を時給換算すると見えてくるもの
ポイントを貯める行動は、家計の工夫として定着しました。還元率を比べ、キャンペーンを追い、アプリを開く。手間はかかりますが、確実に得をしている感覚があります。
ただ、この「得」がどれくらいの大きさなのかは、あまり検証されません。獲得額の実測値と、そこに投じた時間を並べてみると、見え方が変わります。
ポイ活の獲得額は3か月で5,000円未満が6割超です。ここに時間を投じるほど時給は下がるため、価値が残るのは時間を使わない種類のポイ活に限られます。
3か月でいくら貯まっているか
まず実測値です。日本インターネットポイント協議会が15〜69歳の男女1,000名を対象に2025年6月2日から3日に実施した調査では、過去3か月間の獲得額について、500〜2,000円未満が最多の回答でした。5,000円未満の合計は63.2%を占めています※1。
同じ団体が2025年9月6日から8日に実施した調査でも、過去3か月の獲得額は500〜2,000円未満が最多でした※2。時期を変えても分布の中心は動いていません。
月あたりに直すと、最多帯は170円から670円程度です。年間にしても数千円という規模になります。家計の中で意味がないとは言いませんが、多くの人が想像する「ポイ活で得している額」より小さい可能性があります。
4人に1人は自分の獲得額を知らない
もうひとつ、注目したい数字があります。獲得額そのものではなく、把握しているかどうかです。
2025年9月の調査では、過去3か月の獲得ポイントについて「覚えていない/分からない」と答えた人が26.9%いました※2。4人に1人以上が、自分の成果を把握していないことになります。
これは怠慢というより、ポイントの性質を表しています。複数のサービスに分散して少額ずつ貯まるため、合計を意識する機会がありません。得をした実感だけが残り、金額は確かめられないまま次の買い物に進みます。
同じ調査では、ポイントサイトを現在利用している人は36.3%でした※2。関心が高い層でも、獲得額の集計まではしていないということです。
時給に直すと何が起きるか
獲得額が分かったところで、投じた時間を入れてみます。前提を置いた試算です。
3か月で1,000円分を獲得したとします。最多帯の中ほどにあたる金額です。この間、ポイントのために週30分を使ったとすると、13週で6.5時間になります。1,000円÷6.5時間で、時給は約154円です。
比較対象を置きます。令和7年度の地域別最低賃金の全国加重平均額は1,121円です※3。試算した154円は、その1割台にとどまります。
| 週あたりの投入時間 | 3か月の合計 | 1,000円獲得時の時給 |
|---|---|---|
| 週30分 | 6.5時間 | 約154円 |
| 週10分 | 約2.2時間 | 約460円 |
| 週3分 | 約0.7時間 | 約1,540円 |
| ほぼ0分 | — | 計算上は無限大 |
表が示しているのは単純な事実です。獲得額が同じなら、時間を減らすほど時給は上がります。ポイ活の効率を決めているのは還元率ではなく、投入時間のほうです。
「貯まりにくくなった」という体感
2025年6月の調査では、ポイントの貯まりやすさについて「あまり変わらない」が44.5%、「以前より貯まりにくくなった」が32.7%でした※1。9月の調査でも、貯まりにくくなったという回答が貯まりやすくなったという回答を2倍以上上回っています※2。
還元率の見直しやキャンペーンの縮小が続けば、同じ行動でも獲得額は下がります。一方で、貯めるための手間は減りません。分子が小さくなり分母が変わらなければ、時給は下がっていきます。
この傾向が続くなら、時間を投じる形のポイ活は、続けるほど割に合わなくなります。
時間を使わないポイ活だけが残る
以上を踏まえると、選別の基準は還元率ではなく所要時間になります。
- 支払い手段を固定する——一度決めれば以降の時間はゼロです
- 公共料金や固定費の支払い方法を変える——設定は一度きりで、毎月自動的に還元されます
- すでに行く店のアプリだけ入れる——新たな行動を増やしません
- 有効期限の長いポイントに寄せる——失効は時給をマイナスにします
- 毎日の巡回やゲームは対象から外す——獲得額に対して時間が大きすぎます
1番目と2番目は、設定作業の数十分を最初に払えば、あとは何もしなくても還元が続きます。これは時給という指標では評価できないほど効率が高い部類です。
逆に5番目は、獲得額の割に時間が長く、しかも毎日続ける必要があります。金額を確かめないまま習慣になっている場合、その時間を別のことに使う判断もあり得ます。
まとめ
ポイ活の獲得額は、調査で見るかぎり3か月で5,000円未満が6割を超えます。ここに週30分を投じると時給は150円台となり、最低賃金の全国加重平均1,121円の1割台にとどまります。
一方で、支払い手段を一度選び直すだけの行動は、所要時間がほぼゼロのため、獲得額がそのまま手元に残ります。ポイ活を続けるかどうかではなく、時間を使う種類のポイ活を残すかどうかが、実際の分かれ目だといえます。まずは自分の3か月の獲得額を一度合計してみると、判断の材料がそろいます。
参考文献・出典
※1 : 「ポイントに関する調査結果レポート(2025年6月版)」 |一般社団法人日本インターネットポイント協議会
https://www.jipc.jp/press/%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%882025%E5%B9%B4%E7%89%88%EF%BC%89/
※2 : 「ポイントに関する調査結果レポート(2025年9月版)」 |一般社団法人日本インターネットポイント協議会
https://www.jipc.jp/press/%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%882025%E5%B9%B49%E6%9C%88%E7%89%88%EF%BC%89/
※3 : 「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」 |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63030.html