それ、本当? | | TrinityStyle編集部 | 5分で読める

ロボット掃除機の「時短効果」を数字で確かめる

ロボット掃除機の「時短効果」を数字で確かめる

ロボット掃除機は、時短家電の代表として紹介されることが多い製品です。動かしている間に別のことができるのだから、時間が浮くという理屈になります。

ただ、実際にどれくらい浮くのかを数字で示した説明は、あまり見かけません。メーカーが公表している仕様には、時間に関する数値がいくつも載っています。そこから確かめてみます。

ロボット掃除機が短くするのは、掃除にかかる所要時間ではなく、自分が掃除に拘束される時間です。清掃サイクル自体は人が手で済ませるより長くかかります。

仕様に書かれている時間

まず、公表されている数値を並べます。以下はパナソニックのロボット掃除機MC-RSF700の仕様です※1。

項目公表値
連続使用時間約100分(満充電・電池初期/20℃時)
充電時間約5時間(3時間充電後 約80分走行)
最大稼動面積約120畳
消費電力充電中 約20W
集じん容積0.25L
電池寿命繰り返し充放電 約1500回(自動運転使用)

注目したいのは上の2行です。1回の清掃に約100分、その前後の充電に約5時間。合わせると、1サイクルは6時間半を超えます。1日に何度も回せる設計ではありません。

最大稼動面積の約120畳を100分で走る計算にすると、1畳あたり約50秒です。ただし実際の走行は往復や重複を含むため、単純な比例にはなりません。

「終わるまでの時間」は短くならない

ここが誤解されやすい点です。ロボット掃除機を動かしても、掃除が完了するまでの時間はむしろ延びます。

人が掃除機を持って部屋を回れば、数分から十数分で終わる作業です。同じ範囲をロボットに任せると、走行だけで100分近くかかることがあります。丁寧に隅を辿るぶん、時間あたりの効率では人に及びません。

それでも時短だと感じるのは、その100分のあいだ自分が何もしなくていいからです。短縮されているのは掃除の所要時間ではなく、掃除に拘束される時間のほうです。この2つを混同すると、期待した効果が出ないという印象になります。

見る軸手で掃除機をかけるロボット掃除機に任せる
掃除が終わるまでの時間短い長い(走行だけで約100分)
自分が拘束される時間作業時間とほぼ同じ準備とゴミ捨てのみ
汚れた場所への対応すぐ狙える次の運転まで待つ
頻度を上げるコスト手間が比例して増えるほとんど増えない

表の下2行が、導入後の満足度を左右します。飲み物をこぼした直後のように、今すぐ取りたい汚れにはロボット掃除機は向きません。一方で、毎日床を一定の状態に保つ用途では、頻度を上げても手間が増えないという性質が効いてきます。

手間はゼロにはならない

拘束時間が減る一方で、新しく発生する作業もあります。差し引きを見ないと、正味の効果は分かりません。

集じん容積は0.25Lです※1。一般的なキャニスター型掃除機の紙パックより小さく、ゴミ捨ての回数はその分だけ増えます。自動でゴミを回収する機能がない機種では、この作業が毎回ないし数回に一度発生します。

床に物があると、そこは清掃されません。運転前にコード類や小物を片づける手間は、ロボット掃除機を導入したあとに増える作業です。加えて、階段、家具の上、狭い隙間には届かないため、手持ちの掃除機やハンディクリーナーとの併用が前提になります。

電気代と電池の寿命

ランニングコストも計算できます。充電中の消費電力は約20Wです※1。

充電時間5時間で計算すると、1回あたり20W×5時間=100Wh、つまり0.1kWhです。全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電気料金の目安単価は31円/kWh(税込)なので※2、1回あたり約3.1円になります。毎日動かしても月に約93円、年間で約1,130円です。満充電に近づくと消費電力は下がるため、実際はこれより小さくなります。

電池寿命は繰り返し充放電で約1500回とされています※1。1日1回の運転なら、単純計算で4年ほどで交換の目安に達します。なお電気掃除機の補修用性能部品の保有期間は、製造打ち切り後6年と定められています※3。長く使う前提なら、この期間も判断材料になります。

時短が成立する条件

以上を踏まえると、効果が出る場面とそうでない場面が分かれます。

  1. 床に物が少ない——片づけの手間が小さいほど、正味の効果が残ります
  2. 留守中や就寝前に動かせる——拘束時間の削減が最大化されます
  3. フローリング中心の間取り——段差や敷物が少ないほど走行が安定します
  4. 毎日の床掃除を習慣にしたい——頻度を上げる用途では人力より続きます
  5. 手持ちの掃除機を併用できる——届かない場所を割り切れます

逆に、物が多い部屋で毎回片づけてから運転する使い方では、削減した拘束時間の一部が準備作業に戻ってきます。ロボット掃除機を入れる前に床を空ける、という順序のほうが効果は出ます。

まとめ

ロボット掃除機の時短効果は、掃除が終わるまでの時間を短くすることではありません。連続使用時間は約100分、充電に約5時間かかり、1サイクルは6時間半を超えます。人が手で済ませるより時間はかかります。

短くなるのは、自分が掃除に拘束される時間です。電気代は毎日動かしても月100円弱に収まり、電池は1日1回で4年ほどが目安になります。床を空けておける環境なら、その拘束時間の削減はそのまま残ります。数字で見るかぎり、これは時短家電というより「作業を並行させる家電」と呼ぶほうが実態に近いといえます。

参考文献・出典

※1 : 「ロボット掃除機 MC-RSF700 詳細(スペック)」 |パナソニック
https://panasonic.jp/soji/p-db/MC-RSF700_spec.html

※2 : 「よくある質問 Q&A(電気料金の目安単価)」 |公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会
https://www.eftc.or.jp/qa/

※3 : 「別表3|製造業表示規約」 |公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会
https://www.eftc.or.jp/code/notation/notation_table3.html

よくある質問

ロボット掃除機を使うと掃除の時間はどれくらい短くなりますか?

掃除が終わるまでの所要時間は短くなりません。パナソニックのMC-RSF700は連続使用時間が約100分、充電時間が約5時間と公表されており、1回の清掃サイクルは6時間以上かかります。短くなるのは、掃除のために自分が動いている時間、つまり拘束される時間のほうです。

ロボット掃除機の電気代は月いくらですか?

充電中の消費電力が約20Wの機種を、充電時間5時間で毎日運転した場合、1回あたり0.1kWhです。1kWhを31円で計算すると1回約3.1円、毎日動かして月に約93円になります。満充電に近づくと消費電力は下がるため、実際はこれより小さくなります。

ロボット掃除機があれば普通の掃除機は不要になりますか?

多くの場合、併用が前提になります。集じん容積が0.25Lと小さいためゴミ捨ての頻度が高く、階段や家具の上、隙間には届きません。床の平面を毎日一定水準に保つ用途と、汚れた場所を狙って落とす用途は別のものだと考えたほうが判断を誤りません。