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電力会社の切り替えで安くなる人・ならない人の分かれ目

電力会社の切り替えで安くなる人・ならない人の分かれ目

電力の小売が全面自由化されてから、契約先を選べるようになりました。切り替えれば安くなる、という説明はよく聞きます。

ただ、実際には切り替えても大きく変わらない人がいます。この差は運や交渉力ではなく、料金の構造から説明できます。

従来の料金は使用量に応じて単価が上がる3段階の設定です。使用量が少ない層はもともと低い単価が適用されているため、切り替えの効果が出にくくなります。

従来の料金は3段階になっている

まず基準となる料金の仕組みを確認します。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bを例にとると、料金は基本料金と電力量料金の2つで構成されます※1。

電力量料金は使った分だけかかりますが、単価は一定ではありません。使用量が増えるほど単価が上がる、3段階の構造になっています。

区分適用される使用量単価の水準
第1段階〜120kWh最も低い
第2段階120〜300kWh中間
第3段階300kWh超最も高い

この設定は、生活に必要な最低限の電気を安く供給するという考え方にもとづいています。結果として、使用量の少ない世帯には有利な料金体系になっています。

効果が出やすいのは使用量が多い層

新しい料金プランの多くは、この段階制をなくして単価を一律にするか、基本料金をゼロにする形をとっています。ここで有利不利が分かれます。

使用量が少ない世帯は、もともと第1段階の低い単価で電気を買っています。単価が一律のプランに移ると、この安い部分が失われる可能性があります。

一方、使用量が多い世帯は第3段階の高い単価が適用される部分が大きくなります。単価が一律になれば、この高い部分が下がるため効果が出ます。

世帯の傾向切り替えの効果
単身・在宅時間が短い出にくい
2人暮らし・平均的な使用量条件による
家族が多い・オール電化出やすい
在宅勤務で日中も使う出やすい

つまり「切り替えは得」も「切り替えは意味がない」も、どちらも一般化できません。判断は自分の使用量に依存します。

確認する手順

比較の前に、自分の数字をそろえます。ここを飛ばすと判断できません。

  1. 直近12か月の使用量を集める——検針票やマイページで確認します。季節変動が大きいため1か月分では不足です
  2. 契約アンペアを確認する——基本料金の設計が異なるプランでは、この部分の差も出ます
  3. 年間の支払総額を出す——月ごとではなく年間で比べます
  4. 候補プランで同じ使用量を計算する——各社が提供する試算ツールに、実際の月別使用量を入れます
  5. 契約条件を確認する——解約金、最低利用期間、燃料費調整の扱いを見ます

5番目は見落とされやすい部分です。単価が安く見えても、燃料費調整額の上限設定の有無によって、実際の請求額は変わります。

契約時のトラブルに注意

自由化以降、契約をめぐる相談も寄せられています。国民生活センターには、契約者が二重契約となって複数の事業者から請求が発生した事例や、供給者変更時の料金に関する相談が届いています※2。

訪問や電話での勧誘をきっかけとしたトラブルもあります。検針票を見せるよう求められる、マンション全体で契約先が変わると事実と異なる説明を受けるといった事例が報告されています。

同センターは、契約先の事業者が確認できない場合や契約内容が理解できない場合には、その場で契約しないよう案内しています※3。切り替え自体は制度として認められた選択ですが、勧誘の場で即決する必要はありません。

まとめ

電力会社の切り替えで安くなるかどうかは、使用量によって分かれます。従来の料金は使用量が増えるほど単価が上がる3段階の設定で、使用量の少ない世帯はもともと安い単価で買っています。

したがって効果が出やすいのは、使用量の多い世帯です。判断するには、直近12か月の使用量を集めて年間の総額で比較するのが確実です。勧誘をきっかけに検討する場合も、その場では決めず、自分の数字で計算してから判断してください。

参考文献・出典

※1 : 「従量電灯B・C|電気料金プラン」 |東京電力エナジーパートナー株式会社
https://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/old01.html

※2 : 「電力・ガスの契約トラブル(テーマ別特集)」 |独立行政法人国民生活センター
https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/denryoku.html

※3 : 「電力・ガスの契約に関する相談が多く寄せられています」 |独立行政法人国民生活センター
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20211217_1.html

よくある質問

電力会社を切り替えると誰でも安くなりますか?

なりません。従来の従量電灯は基本料金に加えて、使用量に応じて単価が上がる3段階の料金設定になっています。使用量が少ない層は第1段階の低い単価が適用されているため、切り替えても下がりにくくなります。一方、使用量が多い層は第3段階の高い単価が適用される部分が大きく、下げ幅が出やすくなります。

切り替えの前に何を確認すればよいですか?

検針票やマイページで、直近12か月の使用量(kWh)と契約アンペア、支払総額を確認します。電気の使用量は季節で大きく変動するため、1か月分だけで判断すると誤ります。年間の合計で比較するのが確実です。

切り替えでトラブルになることはありますか?

国民生活センターには、二重契約による複数事業者からの請求や、供給者変更時の料金に関する相談が寄せられています。訪問や電話での勧誘をきっかけとしたトラブルの相談もあり、契約先や契約内容が確認できない場合はその場で契約しないよう案内されています。