LED電球の「元が取れる」は何年後か——交換コストと回収期間
白熱電球が切れたとき、同じものを買い直すか、LED電球に替えるか。LEDは本体価格が高いぶん、迷う場面があります。
「電気代が安いから結局は得」という説明はよく聞きますが、具体的に何年で回収できるのかは示されないことが多い。公表値から計算してみます。
LED電球の回収年数は点灯時間で決まります。1日5時間の場所なら1年強、ほとんど点けない場所では回収に何年もかかります。交換の優先順位は、点灯時間の長い場所からです。
寿命と消費電力の公表値
まず基礎になる数値を確認します。業界団体が公表しているものです。
日本照明工業会によれば、一般的なLEDランプの定格寿命は40,000時間で、これは約5年から20年に相当します。10年を超える使用については点検が推奨されています※1。
一方、白熱電球の寿命は1,000〜2,000時間程度とされます。単純比較で20倍から40倍の差があることになります。
消費電力については、60W形相当で白熱電球が54W程度、LED電球は8W台の製品があります。ここで注意が必要なのは、明るさをワット数で比較できないことです。LED電球では明るさをルーメン(lm)で表し、60W形相当なら810lm以上が目安とされています※1。
パッケージのワット数表記は消費電力であって明るさではありません。同じ「60W形」でも、実際の明るさはルーメン値で確認する必要があります。
回収年数を計算する
本体価格の差を、電気代の差で何年かけて回収できるかを計算します。電力量料金を31円/kWhとして、点灯時間別に見てみます。
60W形相当で、白熱電球54W、LED電球8.4Wとした場合、1時間あたりの差は45.6Wです。
| 1日の点灯時間 | 年間の電気代差(1灯) | 本体価格差1,000円の回収 |
|---|---|---|
| 1時間 | 約516円 | 約2年 |
| 3時間 | 約1,548円 | 約8か月 |
| 5時間 | 約2,580円 | 約5か月 |
| 8時間 | 約4,128円 | 約3か月 |
計算は「45.6W × 点灯時間 × 365日 ÷ 1000 × 31円」です。1日5時間の場所なら、電気代だけで半年以内に回収できる計算になります。
さらに交換の手間と電球代が減ります。白熱電球を1,000時間で交換するなら、1日5時間の場所では年に約1.8回。LEDなら40,000時間の定格寿命に対して年間1,825時間なので、20年以上交換が不要な計算です。
優先順位は点灯時間で決める
すべての電球を一度に替える必要はありません。効果が大きい場所から順に替えるのが合理的です。
- リビング・ダイニング——点灯時間が最も長く、効果が大きい場所です
- 玄関・廊下の常夜灯——短時間でも毎日点く場所は積み上がります
- キッチン——作業時間に応じて点灯します
- 洗面所・トイレ——点灯時間は短いものの、点け消しの頻度が高い場所です
- 納戸・クローゼット——点灯時間が短く、優先度は低くなります
5番目のような場所は、電気代の差が年間数十円にとどまります。切れたときに替える程度で十分です。
交換前に確認すること
LED電球には、白熱電球と交換できない条件があります。事前に確認しておくと失敗を避けられます。
口金のサイズはE26(直径26mm)とE17(直径17mm)が一般的で、器具側と合わせる必要があります。また光の広がり方には全方向型と下方向型があり、器具の形状によって適したものが変わります。密閉型の器具に対応していない製品を使うと、熱がこもって寿命が縮むことがあります。
調光器がついた器具では、調光対応と明記された製品を選ぶ必要があります。非対応の製品を使うとちらつきや故障の原因になります。
光の色も選択肢があります。電球色、温白色、昼白色、昼光色から、部屋の用途に合わせて選びます※1。同じ部屋で色が混ざると違和感が出るため、まとめて替える場合は色をそろえるのが無難です。
まとめ
LED電球の回収年数は、点灯時間で決まります。1日5時間点ける場所なら電気代の差だけで数か月、1日1時間の場所では2年程度が目安です。
定格寿命は40,000時間で、白熱電球の20倍以上。交換の手間が減る分も実質的な価値になります。全部を一度に替えるのではなく、リビングなど点灯時間の長い場所から順に替えていくのが効率的です。購入時は口金サイズ、明るさのルーメン値、器具の対応状況を確認してください。
参考文献・出典
※1 : 「電球形LEDランプ(LED電球)の正しい選び方」 |一般社団法人日本照明工業会(JLMA)
https://www.jlma.or.jp/led-navi/contents/cont21_LEDlamp.htm
※2 : 「省エネ性能カタログ電子版」 |省エネ型製品情報サイト(資源エネルギー庁)
https://seihinjyoho.go.jp/catalog/