ドラム式と縦型、洗濯1回のコスト差を計算する
洗濯機を買い替えるとき、必ず出てくるのがドラム式と縦型の比較です。ドラム式は節水で省エネ、縦型は本体が安くて洗浄力が高い。この対比自体はよく知られています。
問題は、その差が金額としてどれくらいなのかです。メーカーが公開している数値を使って計算してみます。
洗濯だけなら1回あたりの差は約11円で、本体価格差の回収には長い年数がかかります。ただし乾燥まで使う場合は差が約60円に広がり、判断が入れ替わります。
使用水量と1回あたりコスト
まず公表されている数値を確認します。シャープが公開している比較データでは、洗い方の違いによる水量とコストが示されています。
タテ型穴なし槽は洗濯容量11kgで115リットルを使用します。一方、容量12kgのドラム式洗濯乾燥機は約77リットルで運転できます。1回あたりのコストは、タテ型が約33.5円、ドラム式が約22.2円とされています※1。
| 使い方 | タテ型 | ドラム式 | 差 |
|---|---|---|---|
| 使用水量 | 115L(11kg) | 約77L(12kg) | 約38L |
| 洗濯のみ・1回 | 約33.5円 | 約22.2円 | 約11.3円 |
| 洗濯+乾燥・1回 | 約91.3円 | 約31.1円 | 約60.2円 |
洗濯だけの比較では、差は1回あたり11円程度です。一方、乾燥まで行うと差は60円に広がります。この違いは、乾燥方式によるものです。
ドラム式は多くがヒートポンプ式などの低温乾燥を採用しており、ヒーターで加熱する方式より消費電力を抑えられます。縦型で乾燥まで行う場合、この差が大きく効いてきます。
回収年数を計算する
本体価格はドラム式のほうが高くなるのが一般的です。ランニングコストの差で、その価格差をどれくらいの期間で埋められるのかを計算します。
1日1回使う前提で、年間365回として計算します。
| 使い方 | 1回の差額 | 年間の差額 | 10万円の価格差の回収年数 |
|---|---|---|---|
| 洗濯のみ | 約11.3円 | 約4,100円 | 約24年 |
| 洗濯+乾燥 | 約60.2円 | 約22,000円 | 約4.5年 |
洗濯のみで使う場合、回収に約24年かかります。内閣府の消費動向調査で示される洗濯機の平均使用年数を大きく超えるため、金額面では回収できない計算になります。
一方、乾燥まで毎日使う場合は約4.5年です。この場合はランニングコストの差だけで価格差を吸収できます。
つまり、この2機種の比較は「どちらが得か」ではなく「乾燥機能を毎日使うかどうか」で決まる、ということになります。
使い方以外の判断材料
コスト以外にも、生活への影響が大きい違いがあります。金額では表せない部分です。
ドラム式は乾燥まで一度で終わるため、干す作業がなくなります。この時間の削減は、共働き世帯では金額以上の意味を持つことがあります。一方で本体の奥行きが大きく、設置場所と搬入経路の確認が必要です。ドアが手前に開くため、前方のスペースも要ります。
縦型は本体価格が抑えられ、上から投入できるため設置面積も小さくて済みます。洗浄力については、もみ洗いに近い動きのため泥汚れなどに強いとされます。
判断の順番としては、次のようになります。
- 乾燥を毎日使うかを決める——ここでランニングコストの結論が変わります
- 設置スペースと搬入経路を測る——ドラム式は奥行きと扉の開閉スペースが必要です
- 干す作業の負担を評価する——時間の価値を金額に足して判断します
- 本体価格差を確認する——前述の年間差額で回収年数を出します
- 省エネ性能を機種ごとに確認する——同じ方式でも機種による差があります
5番目については、資源エネルギー庁が運営する省エネ型製品情報サイトで、製品ごとの省エネ性能を確認できます※2。
まとめ
ドラム式が節水なのは事実で、使用水量には約38リットルの差があります。ただし洗濯だけで使うなら1回あたりの差は約11円で、本体価格差の回収には20年以上かかる計算になります。
判断を分けるのは乾燥機能です。毎日乾燥まで使うなら1回あたり約60円の差となり、数年で価格差を回収できます。カタログの節水性能だけで決めず、自分が乾燥を使うかどうかから逆算してみてください。
参考文献・出典
※1 : 「節水・省エネ能力の違い|タテ型とドラム式どこが違うの?」 |シャープ株式会社
https://jp.sharp/sentaku/tate_drum/watersaving.html
※2 : 「省エネ性能カタログ電子版」 |省エネ型製品情報サイト(資源エネルギー庁)
https://seihinjyoho.go.jp/catalog/