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食洗機vs手洗い、水道代の分岐点はどこか

食洗機vs手洗い、水道代の分岐点はどこか

食洗機の売り文句として必ず出てくるのが「手洗いより節水」です。実際、メーカーの公式データを見ると使用水量は大きく減ります。

ただ、水道代の差だけを見ていると、家計にどう効くかを読み違えます。試算の中身を分解すると、損得を決めている要素が別にあることが分かります。

食洗機は水道代を1回あたり約17円下げますが、年間2万円規模の差を生んでいるのは水道代ではなく、手洗いで湯を沸かすガス代です。

メーカーの試算を分解する

まず公式データを確認します。前提条件が明示されているので、どの部分が効いているかまで追えます。

パナソニックが公開している試算では、食器40点・小物20点(約5人分)を対象に、卓上型食洗機NP-TZ500と手洗いを比較しています。電力31円/kWh、都市ガス222円/㎥、水道料金137円/㎥、下水道使用料125円/㎥という単価が前提です※1。

項目手洗い(湯を使用)食洗機(NP-TZ500)
使用水量約75L約9.9L
水道料金約19.6円約2.6円
ガス代約37.8円
電気代約23.9円
洗剤費約6.0円約4.0円
1回あたり合計約63.4円約30.5円

注目したいのは内訳です。手洗いの63.4円のうち、水道料金は19.6円にすぎません。最大の項目はガス代の37.8円で、全体の約6割を占めます。

つまり「食洗機は節水」という説明は正しいものの、金額の差を作っている主役は水を温めるエネルギーのほうです。

年間差額はどこから生まれるか

同じ試算では、1日2回・毎日使用した場合の年間コストが示されています。手洗いが約46,200円、食洗機が約22,300円で、差額は約23,900円です※1。

このうち、水道料金の節約分は年間約12,410円とされています。残りの約1万円強が、ガス代と電気代の差し引きによるものです。

言い換えると、湯を使わずに手洗いしている家庭では、この試算の前提が成立しません。ガス代37.8円が消えれば手洗いの1回コストは約25.6円となり、食洗機の30.5円を下回ります。

冬場は水が冷たく湯を使う人が多い一方、夏場は水で済ませる家庭もあります。季節によって損得が入れ替わる可能性がある、ということです。

得になる条件・ならない条件

判断を分けるのは、食器の量と、湯を使うかどうかの2点です。

条件傾向
家族が多く食器量が多い食洗機が有利
手洗いで湯を使っている食洗機が有利
1〜2人分で水洗い手洗いが有利になり得る
使用が週数回差が小さくなる
電気料金が高い地域・プラン食洗機の優位が縮む

前提の「約5人分・1日2回」は、比較的多い部類です。試算の数値をそのまま自分の家庭に当てはめると、効果を過大に見積もることになります。

実際に判断するなら、自分の条件に置き換えて計算し直すのが確実です。

  1. 1回に洗う食器の量を数える——試算は食器40点・小物20点が前提です
  2. 湯を使っているか確認する——使っていなければガス代の項目は消えます
  3. 1日の回数を決める——2回か1回かで年間差額は倍近く変わります
  4. 自宅の単価を調べる——水道料金と電気料金の単価は地域とプランで異なります
  5. 本体価格と設置費を加える——回収年数はこの初期費用を差額で割って求めます

金額以外の判断材料

コスト以外にも、判断に関わる要素があります。試算には表れない部分です。

食洗機は洗浄に高温の水を使うため、手洗いでは扱いにくい油汚れに強くなります。一方、食器の並べ方に手間がかかり、対応していない材質の食器は入れられません。設置には置き場所と分岐水栓の工事が必要な場合もあります。

時間の節約を重視するなら、その価値は金額換算しにくいものの実質的です。逆に、食器が少ない世帯では洗い上がるまで待つ分、かえって手間が増えることもあります。

金額の差が小さい条件では、この使い勝手のほうが判断の決め手になります。

まとめ

食洗機が節水になるのは事実で、使用水量は約87%削減されます。ただし年間2万円規模の差額の主因は水道代ではなく、手洗いで湯を沸かすガス代です。

したがって「水で洗っている」「食器が少ない」という条件では、差は大幅に縮み、逆転することもあります。導入を検討するなら、メーカーの試算をそのまま使わず、自分の食器量と湯の使用有無に置き換えて計算してみてください。

参考文献・出典

※1 : 「食洗機(食器洗い乾燥機)の電気代と水道代はいくらかかる?手洗いよりもおトクなポイントを解説」 |パナソニック
https://panasonic.jp/life/housework/100145.html

※2 : 「家計調査」 |総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/kakei/

よくある質問

食洗機は手洗いより水道代が安くなりますか?

安くなります。パナソニックの試算では、食器40点・小物20点(約5人分)を手洗いすると約75Lの水を使い水道料金は約19.6円、卓上型食洗機NP-TZ500では約9.9Lで約2.6円です。使用水量で約87%の削減になります。ただし水道代だけで見ると1回あたりの差は約17円です。

食洗機を使うと年間でいくら節約できますか?

同じ試算では、1日2回・毎日使用した場合の年間コストは手洗いが約46,200円、食洗機が約22,300円で、差額は約23,900円です。ただしこれは約5人分の食器をお湯で手洗いする前提の数値で、家族人数や湯を使うかどうかで結果は変わります。

食洗機が得にならないのはどんな場合ですか?

食器の量が少なく、水で洗っている場合です。手洗いのコストの多くは湯を沸かすガス代が占めるため、水で洗っているならその分がかかりません。1〜2人分を水洗いする世帯では、食洗機の電気代が上回る可能性があります。