それ、本当? | | 更新: | TrinityStyle編集部 | 6分で読める

間接照明の「おしゃれ効果」を照度データで確かめる

間接照明の「おしゃれ効果」を照度データで確かめる

間接照明を取り入れた部屋の写真は、たいてい実物より良く見えます。同じ家具、同じ間取りでも、照明の当て方だけで印象が変わる。この効果はよく語られますが、では何が起きているのでしょうか。

照明の基準と、光が人の体に与える影響という2つの側面から確かめてみます。

間接照明で部屋が良く見えるのは、物が高級になるからではなく、明暗の差によって空間に立体感が生まれるからです。均一に照らすほど平板に見え、光源を分けるほど奥行きが出ます。

「明るさ」ではなく「明暗差」が印象を決める

シーリングライト1灯で部屋全体を均一に照らすと、影がほとんど消えます。影がない状態は、視覚的には奥行きの手がかりがない状態です。

間接照明は、壁や天井に光を当てて反射させます。壁の一部が明るく、離れた場所は暗いという勾配ができ、そこに影が生まれます。人はこの明暗差から距離や質感を読み取るため、同じ部屋でも奥行きを感じるようになります。

写真で差がはっきり出るのはこのためです。カメラは明暗差をそのまま記録するので、光の勾配がある部屋は情報量の多い画になります。逆に均一な照明の部屋は、平坦な画になりがちです。

つまり間接照明の効果は、明るさを足すことではなく、明暗の差をつくることにあります。この理解が、次の配置の話につながります。

全体照明と手元照明を分けて考える

雰囲気を優先すると、今度は生活に必要な明るさが不足します。ここで有効なのが、空間全体を照らす光と、作業する手元を照らす光を分ける考え方です。

照明の基準を定めたJIS Z 9110は2024年に改正され、作業領域ごとに照度基準を設定できるタスク・アンビエント照明の考え方に対応しました。同一空間内で、視覚的な不快感を伴わない範囲であれば光色の差を許容する規定も設けられています※1。

これは実践に直結します。部屋全体は間接照明で低めに抑え、本を読む場所や書き物をする場所にだけスタンドを置く。空間としての雰囲気と、作業に必要な明るさが両立します。

用途光の当て方器具の例
空間の雰囲気壁・天井に反射させる間接照明、ブラケット、フロアライト
くつろぎ・食事対象の上から低めにペンダントライト
読書・書き物手元だけを直接照らすデスクライト、クリップライト
通路・安全確保足元を低照度でフットライト

一度にすべてを揃える必要はありません。まずフロアライトを1つ足して部屋の隅を照らすだけでも、明暗差は生まれます。

夜の光は「明るさ」より「色」が効く

もう一つ、照明には見た目とは別の側面があります。夜に浴びる光の性質が、体内時計に影響するという点です。

日本照明工業会は、時間帯に応じた調光・調色の設定例として、朝は4000K、昼間は5000〜6500K、夜間(18時以降)は色温度2700Kで調光率30%、深夜(21時以降)は2700Kで調光率1〜40%という数値を示しています※2。夜になるほど色温度を下げ、暗くしていく組み方です。

照明学会の研究報告でも、照明光がサーカディアンリズムに作用することと、夜間屋内照明のあり方が検討されています※3。青みの強い高色温度の光ほど影響が大きいとされるため、夜は電球色を選ぶことに合理性があります。

間接照明が「落ち着く」と感じられるのは、雰囲気だけの話ではないのかもしれません。多くの間接照明は電球色で、明るさも抑えられています。夜の光として、条件を満たしている場合が多いということです。

導入するときの順番

まとめて買い替える必要はありません。効果が出やすい順に足していくのが現実的です。

  1. 部屋の隅にフロアライトを1つ置く——壁に光を当てると、それだけで明暗差が生まれます
  2. 作業する場所に手元灯を足す——全体を明るくせず、必要な場所だけを照らします
  3. 電球を電球色に替える——夜の色温度を下げるだけでも印象と体感は変わります
  4. 天井の主照明を調光にする——夜だけ落とせるようにすると、時間帯で使い分けられます
  5. 光源が直接見えない位置に置く——器具が視界に入ると眩しさが勝ち、効果が薄れます

5番目が実は重要です。間接照明は光源を隠してこそ成立するため、置く位置ひとつで印象が変わります。

まとめ

間接照明で部屋が良く見えるのは、明るさが増えるからではなく、明暗差によって空間に立体感が生まれるからです。均一に照らすほど平板になり、光源を分散させるほど奥行きが出ます。

実践としては、全体照明を抑えて手元照明を足す組み方が基本になります。あわせて夜は色温度を下げる。この2点を押さえておけば、見た目の印象と生活のしやすさは両立します。まずはフロアライト1つから試してみてください。

参考文献・出典

※1 : 「JIS Z9110:2024 照明基準総則の改正内容」 |パナソニック 照明設計サポート P.L.A.M.
https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/plam/jis-z9110/

※2 : 「サーカディアンリズムを整えるLED照明の調光・調色機能」 |一般社団法人日本照明工業会(JLMA)
https://www.jlma.or.jp/led-navi/contents/cont41_circadian.htm

※3 : 「照明光のサーカディアンリズムへの作用と夜間屋内照明のあり方(JIER-121)」 |一般社団法人照明学会
https://www.ieij.or.jp/publish/files/IEIJ_JIER-121.pdf

よくある質問

間接照明にすると部屋がおしゃれに見えるのはなぜですか?

光源が直接目に入らず、壁や天井で反射した光が空間を照らすため、明暗の差が生まれるからです。全体を均一に照らすシーリングライト1灯では影が消えて平板に見えますが、複数の光源で明暗をつくると奥行きが感じられます。物が高級に見えるのではなく、空間に立体感が生まれることが効果の正体です。

間接照明だけで生活すると暗すぎませんか?

作業には不足することがあります。照明の考え方としては、空間全体を照らすアンビエント照明と、手元を照らすタスク照明を分けるのが基本です。JIS Z 9110の2024年改正でも、作業領域ごとに照度基準を設定できる考え方が採り入れられています。読書や書き物をする場所には手元灯を足す前提で組むのが現実的です。

夜の照明は何に気をつけるとよいですか?

色温度を下げることです。日本照明工業会は、夜間は色温度2700K程度の電球色に調光する設定例を示しています。青みの強い高色温度の光は体内時計への影響が大きいとされるため、夜は電球色で暗めにし、朝や昼は色温度の高い光にするという時間帯ごとの切り替えが理にかなっています。