エアコン自動運転vs26度固定、電気代が安いのはどっち?
エアコンの使い方をめぐっては、いくつもの通説が流通しています。自動運転より弱運転のほうが安い、こまめに消したほうが安い、設定温度は低めにして早く冷やしたほうが結局は安い。
どれももっともらしく聞こえますが、エアコンの消費電力がどこで大きくなるかを押さえると、判断はかなりはっきりします。
エアコンは設定温度に到達するまでの立ち上がりで最も電力を使い、到達後は消費電力が下がります。したがって、立ち上がりを短くする使い方が電気代を抑える方向に働きます。
エアコンの電力は「立ち上がり」に集中する
現在主流のインバーター式エアコンは、運転中つねに同じ電力を使うわけではありません。室温と設定温度の差が大きいほど強く運転し、差が縮まると出力を落とします。
つまり、電気代を左右するのは運転している時間の長さそのものより、大きな出力で運転する時間がどれだけあるかです。真夏の帰宅直後、締め切った部屋を冷やし始める場面が、消費電力の山にあたります。
この特性を踏まえると、通説の当否は次のように整理できます。
| 通説 | 実際 |
|---|---|
| 弱運転で固定するほうが安い | 立ち上がりが長引き、大きな出力の時間が延びやすい |
| 自動運転は電気を使いすぎる | 立ち上がりは強く、到達後は弱く運転する制御になっている |
| こまめに消すほうが安い | 短時間の外出では、冷やし直しのほうが電力を使う場合がある |
| 設定温度を下げて一気に冷やすと安い | 設定温度が低いほど、到達後も出力が下がりにくい |
弱運転で固定する使い方は、一見すると節約に見えます。しかし室温がなかなか下がらないため、結果として強めの運転が続く時間が長くなります。自動運転は、この立ち上がりと維持の切り替えを機器側が判断する仕組みです。
設定温度と室温は別のもの
もう一つ混同されやすいのが、設定温度と室温の違いです。リモコンの数字は目標値であって、実際の室温とは一致しません。
環境省の家庭部門のCO2排出実態統計調査によれば、冷房時の設定温度は28℃が29.7%で最も多く、27℃以上が全体の約6割を占めています※1。この数字は、多くの家庭が高めの設定温度を選んでいることを示しています。
ただし、設定温度を28℃にしても室温が28℃になるとは限りません。日射や断熱性能、在室人数によって、室温は設定より高くも低くもなります。「設定を28℃にしているのに暑い」という状況は、設定と室温がずれているサインです。
このとき設定温度をさらに下げると消費電力は増えます。先に試す価値があるのは、風量を上げる、風向きを調整する、サーキュレーターで空気を回すといった、体感温度を下げる方法です。同じ室温でも気流があれば涼しく感じられるため、設定温度を下げずに済みます。
実際にどう使うか
判断の順番を決めておくと、迷わずに済みます。まず自動運転を基本にし、暑さを感じたら設定温度より先に気流を調整する、という流れです。
- 運転モードは自動にする——立ち上がりと維持の切り替えを機器に任せます
- 設定温度は高めから始める——27〜28℃から始め、暑ければ下げる方向で調整します
- 暑いと感じたら先に風量と風向きを調整する——気流で体感温度を下げてから、それでも足りなければ設定温度を動かします
- 短時間の外出では消さない——数十分程度なら、つけたままのほうが有利になる場合があります
- フィルターを定期的に清掃する——目詰まりは風量を落とし、同じ室温にするための運転を長引かせます
なお、4番目の境目は住宅の断熱性能や外気温によって変わります。一般論としての「何分まで」は存在しないため、自宅の条件で試して感覚をつかむのが確実です。
自分の家で確かめる方法
条件が家ごとに違う以上、最終的には自宅で測るのが最も信頼できます。電力モニター(ワットモニター)をコンセントとエアコンの間に挟むと、運転パターンごとの消費電力量を実測できます。
比較するときは、外気温が近い日を選び、同じ時間帯・同じ在室人数で運転方法だけを変えるのが基本です。1日単位ではばらつきが大きいため、数日分の平均で比べると傾向が見えます。
こうして測ってみると、運転モードの違いより、フィルターの詰まりや窓からの日射のほうが影響が大きかった、という結果になることも珍しくありません。
まとめ
自動運転と温度固定の比較では、自動運転が有利になる場面が多くなります。エアコンの電力消費が立ち上がりに集中する以上、立ち上がりを短く済ませる制御のほうが理にかなっているためです。
そのうえで効くのは、設定温度を下げる前に気流を調整すること、そしてフィルターを清掃することです。運転モードの選択より、この2つのほうが電気代への影響は大きくなります。気になる場合は、電力モニターで自宅の条件を実測してみてください。
参考文献・出典
※1 : 「令和5年度家庭部門のCO2排出実態統計調査|エアコンの使い方について」 |環境省
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/kateico2tokei/energy/detail/06/