マネー・節約 | | 加藤 涼太 | 7分で読める

「円安で海外旅行は損」と思い込んでいる人が見落としている節約ルート

「円安で海外旅行は損」と思い込んでいる人が見落としている節約ルート

「円安だから海外旅行はやめておこう」——そう思って旅行計画を棚上げにしている人は少なくないはずです。確かに1ドル=150円台が続く2026年現在、円安は旅行コストを押し上げます。しかし「円安=海外旅行は損」という判断は、コストの一面しか見ていません。

円安が旅行費用に与える影響とは、実は旅行コスト全体の一部にすぎません。為替手数料の選び方、LCCの活用、渡航先の物価差を組み合わせれば、円安下でもコストを大幅に抑えられます。

円安は旅行費用のどこに影響するのか?

「円安だから高い」と感じる人の多くは、旅行費用をひとまとめに捉えています。実際には、円安の影響を受ける項目と受けにくい項目があります。

影響が大きい項目と小さい項目

費用項目円安の影響節約の余地具体策
国際線航空券大きい大きいLCC活用で50〜70%削減可
宿泊費大きい大きいオフシーズン・ホステル活用
現地飲食費中程度中〜大物価が低い国を選ぶ
為替手数料小さいが積み重なる中程度カード選び・DCC回避
海外旅行保険なし(円建て)ありカード付帯保険を活用
通信費(SIM)中程度大きい現地SIM購入で1/5以下に

日本政府観光局(JNTO)のデータでも、円安が進んだ2023〜2025年に出国日本人数は回復傾向を示しており、工夫次第で旅行を実現している人が多いことがわかります※1。

円安でも安く行ける国はどこか?

渡航先の選び方で旅行コストは大きく変わります。ポイントは「現地の物価水準が日本より低い国」を選ぶことです。

物価差が大きい国ほど円安の影響を吸収できる

観光庁の「旅行・観光消費動向調査」によると、旅行先別の消費額は目的地によって大きく異なります※2。たとえば東南アジアでは、現地の食事が1食200〜500円程度、ローカル交通費は数十円〜数百円という水準の国が多く、円安の影響を物価差で十分に吸収できます。

筆者が2024年にベトナムを旅行した際、1ドル=155円前後の円安でしたが、ホーチミンの屋台での食事は1食約300円、タクシー10分で約200円と、日本の半額以下で過ごせました。「円安だから高い」という先入観が完全に覆された経験です。

2026年に狙い目の渡航先

  • ベトナム(食費・交通費が日本の1/3〜1/5)
  • タイ(バンコク以外は特に物価が低い)
  • マレーシア(クアラルンプールでも日本の半額程度)
  • 台湾(近距離でLCC便が多く、食費が安い)
  • ポーランド・ハンガリー(欧州の中では物価が低い)

為替手数料を最小化する方法とは?

為替手数料とは、円を外貨に換える際に発生するコストの総称です。両替レートのスプレッド(売値と買値の差)とカード会社の事務手数料で構成されます。同じ10万円を使っても、方法によって数千円の差が出ます。

両替方法別コスト比較

方法手数料率の目安10万円使った場合の差おすすめ度
空港の両替所3〜5%3,000〜5,000円のロス
銀行・郵便局2〜3%2,000〜3,000円のロス
海外事務手数料の低いカード0.5〜1.6%500〜1,600円のロス
現地ATM(デビットカード)1〜2%1,000〜2,000円のロス

DCC(動的通貨換算)は必ず断る

現地で「日本円で支払いますか?」と聞かれたら、必ず「現地通貨」を選んでください。DCC(動的通貨換算)とは、店舗側が設定するレートで日本円に換算する仕組みで、通常のカード決済より3〜5%不利になることがあります。

ある旅行系FPのブログでは「DCCの上乗せだけで、旅行全体で1〜2万円損している人も珍しくない」と指摘されています。小さな選択の積み重ねが大きな差になります。

円安時代の海外旅行を安くする5つのステップ

ステップ1:渡航先を「物価差」で選ぶ

「行きたい国」ではなく「同じ予算で最も楽しめる国」で考えます。東南アジア・東欧は円安下でもコスパが高い選択肢です。

ステップ2:航空券はLCC+オフシーズンで探す

LCCの基本運賃は大手キャリアの50〜70%オフが一般的です。ただし受託手荷物・座席指定・機内食は別料金のため、オプション込みの総額で比較することがポイントです。

ステップ3:海外事務手数料の低いカードを用意する

旅行前に海外事務手数料が1%以下のカードを1枚用意しておきます。10万円の決済で手数料率が2%違えば2,000円の差です。

ステップ4:現地SIMを購入して通信費を抑える

国内キャリアのデータローミングは1日1,000〜3,000円かかりますが、現地SIMなら1週間500〜1,500円程度で済む国が多くあります。空港到着後すぐに購入できます。

ステップ5:カード付帯の旅行保険を確認する

海外旅行保険は別途加入すると数千円かかりますが、クレジットカードに自動付帯または利用付帯している場合は追加コストゼロで利用できます。出発前に補償内容を確認しておきましょう。

まとめ

  • 円安が旅行コストに影響するのは一部の項目だけで、全体が一律に高くなるわけではない
  • 現地の物価が日本より低い国を選べば、円安の影響を物価差で吸収できる
  • 為替手数料はカードの選び方とDCC回避で数千円単位の節約になる
  • LCC+オフシーズンで航空券・宿泊費を大幅に下げられる
  • 「円安だから諦める」ではなく「円安でも行けるルートを探す」発想が大切

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参考文献・出典

※1 日本政府観光局(JNTO)「出国日本人数の推移」 https://www.jnto.go.jp/statistics/data/since1964_visitor_outbound.pdf

※2 観光庁「旅行・観光消費動向調査」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/shouhidoukou.html

※3 総務省統計局「消費者物価指数」 https://www.stat.go.jp/data/cpi/

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よくある質問

海外でクレジットカードを使うと手数料はどのくらいかかりますか?

国際ブランド(Visa、Mastercard等)の為替手数料に加え、カード会社が独自に設定する海外事務手数料が上乗せされます。合計で1.6〜3%程度になることが多く、カードによって異なります。海外事務手数料が無料または低率のカードを選ぶことで、この負担を抑えられます。

空港の両替所と銀行、どちらが有利ですか?

一般的に空港の両替所は手数料が高めに設定されているケースが多く、銀行や市中の両替商より不利なレートになることがあります。事前に銀行や郵便局で両替するか、現地ATMで引き出せるデビットカードを活用する方法が手数料の観点では有利なことが多いです。

東南アジアは円安でも旅行コストを抑えやすいですか?

タイ、ベトナム、インドネシアなど東南アジアの多くの国では、食費や交通費が日本と比べて低い水準にあります。円安でも現地の物価水準との差が大きい地域を選ぶことで、旅行全体のコストを抑えやすい傾向があります。ただし近年は物価上昇が続いている地域もあるため、旅行前に現地の最新情報を確認することが重要です。